リカレント教育の実態
大学型高等教育機関での学び直し
←出典:社会人の学び直しに関する現状等について(2012年 文部科学省)より抜粋
いわゆる社会人大学生に代表される、大学や大学院などの大学型高等教育機関で学び直しを行っている社会人数について、文部科学省が2012年に発表している「社会人の学び直しに関する現状等について」の資料をもとに、調べてみました。
左図は、大学型高等教育機関で学ぶ社会人の割合の国際比較ですが、日本(1.9%)の割合がいかに低いかが、見て取れると思います。
特にOECD加盟国の平均18.1%を大きく下回っている点にも、注目すべきだと思います。
これは割合の比較なので実数比較となると多少異なるとは思いますが、社会人の2%程度の方々しか、大学型機関での学び直しを行っていないという実態が伺えます。
中でも注目すべき数字は、同じく文部科学省の調査によると、「社会人に対して再教育への意識調査」を行ったところ、約90%の方々が「受けたい」・「興味がある」と回答したという点です。
90%の方々が学び直しに興味がありつつも、実際に大学型高等教育機関で学び直しを行っている方々は2%に留まっているということです。
もちろん費用や時間の関係でなかなか実行に移せないことは十分に理解はできつつも、諸外国と比較しても低い数字が浮かび上がりますし、違った形での学び直しを行っているのかどうかという点も気になります。
社会人の読書離れ
出典:楽天ブックス調べ(2018)→
さすがに、大学や大学院に通い直すことは敷居が高いし、できない理由が多いので、ということで、それ以外の方法で学び直しを行っているかどうか。もっとも基本的で、誰でもできる学び直しということで、「読書量」について調べてみました。
右図は、2018年に楽天ブックスが調査した社会人の読書量についての資料です。この調査内容によると、「一ヵ月に一冊の本も読まない」層が全体の約60%を占めており、「一ヵ月に10冊以上の本を読む」層(3.9%)を大きく超えているという実態です。
この数字を見て、皆様はどう感じるでしょうか?
ご自身の読書量と比較した時に、どうでしょうか?
役職別には「一ヵ月に1冊以上6冊未満の本を読む」層は、若手社員(24.7%)に対して管理職(34.3%)と、管理職のほうが割合が大きくなってはいます。一方で、「一ヵ月に6冊以上の本を読む」と答えた層は、若手社員(11.3%)が管理職(7.3%)を上回っている実態が伺えます。
100年時代だからこそ、学び直しを
個人的な話をすると、私はどちらかというと読書が苦手なタイプの人間でした。ただし、社会人になってから、特に管理職になってから読書機会を強制的に作ったことで、今では隙間時間があれば自然に本を読むようになり、習慣化することができました。
サラリーマン時代、新入社員や部下に対して「せめて日経新聞は読みなさい」とか、「このビジネス書は読んでおいた方がいいよ」という事を伝えていました。それは早くから習慣化することが重要だと思っていますし、多彩で相手を引き込むアウトプットができるようになるには、インプット量が比例すると考えているからです。
例えばキャリア面談の際に、相手が使うフレーズやキーワードなどから、その方の読書量が分かる場合があります。
これは面接という場でも同様ですし、商談の場でも言えることです。
やはり学生時代から読書習慣のある方々は、常日頃から様々な分野の知識・情報をインプットしているのが分かりますし、「優秀な方だな」と感じる方々は、圧倒的に自分よりもインプットに時間を費やしています。
読書がすべてという訳ではありませんが、「されど読書」だとも思います。ましてや、世の中の変化が激しく、様々な分野の知見が必要となるこれからの時代では、偏った知識に頼ることほど危険なことはありません。
リカレント教育という観点で、いきなりMBAやセミナーに参加するといった行動を取れない場合でも、自身の読書習慣について見直しをしてみることで、インプットの機会を増やすことも重要だと感じています。